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今年もホンジュラスをお楽しみください!
堀口珈琲のシングルオリジンにおいて、年間を通じて常にラインナップされているホンジュラスのコーヒー。質、量ともにここ数年で飛躍的に向上し、堀口珈琲のブレンドづくりにおいて欠かせない存在となりました。
オンラインストアでは取り扱いを始めた当初から毎年「ホンジュラス特集」を企画してきたので、長年の利用者の方は年々飛躍していくホンジュラスを、その成長過程と共にお楽しみいただいてきました。今年も引き続きお楽しみいただきますのでご期待ください。
一方で、新しいお客様からは「種類が多すぎてどれを選んでいいかわからない!」という声も聞こえてきます。安心してください、私たちも種類が多すぎて戸惑うほどです。つまりは、それだけホンジュラスのコーヒーが多彩であり、様々な楽しみ方ができるということでもあるんです。
そこで今回はホンジュラスから初登場のコーヒー3種類をご紹介すると共に、風味の傾向や、これまでの歩みを振り返る特集を企画しました。改めてホンジュラスの魅力、楽しみ方、産地の背景をダイジェスト的に伝えします!
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新商品のご紹介
「エル・ポソ」
シティロースト
「エル・ポソ」
シティロースト 200g
販売価格:税込1,836円
セルグァパ地区から初登場のマイクロロット。品種は「ブルボン」です。
華やかでさわやかな柑橘果実を想わせる風味で「ホンジュラスらしさ」を象徴するような一杯。
滑らかな質感と、きび糖のような優しい甘さが心地よく広がります。
「ケブラダ・オンダ」
シティロースト
「ケブラダ・オンダ」
シティロースト 200g
販売価格:税込1,836円
上記「エル・ポソ」と同じくセルグァパ地区から初登場のマイクロロット。品種は「ティピカ」です。
ティピカ品種らしいシルキーな舌触りが特徴的で、柑橘果実に加えほんのりと赤系の果実の華やかさも感じられます。
濃縮感があり、シティローストながら飲みごたえも感じられる一杯。
「エル・ポソ」と「ケブラダ・オンダ」で、同じ地区、同じ焙煎度のブルボンとティピカの飲み比べもおすすめですよ。
品種による風味の違いをわかりやすく感じていただけます。
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飛躍するコーヒー産地「ホンジュラス」ってこんな国
こちらは中米のマップ。青色に塗りつぶしている部分がホンジュラスです。
グァテマラ・エルサルバドル・ニカラグアに隣接しており、2022年の日本のコーヒー生豆輸入量では世界第8位。中米の国ではグアテマラに次ぎ、2番目の輸入量を誇る日本のコーヒー市場を支えている重要な国です。面積は日本の3分の1程度。人口は約990万人で、比較するならば神奈川県よりも少し多いくらいです。
もともと、ホンジュラスという国はコーヒー生産に適した地形や気候を有するエリアがあるにも関わらず、国内情勢や治安の悪化、インフラや精製設備の不足などの理由から産業としてはあまり発展してきませんでした。しかし、そのような問題が解決されつつあり、さらに一部の生産者のマインドにも変化が表れ始め、力のある産業として大きな流れを生んでいます。
より詳細についてはホンジュラスが生まれ故郷でもあるオンラインストア担当島崎による記事「コーヒー産地ホンジュラスってこんなところ!」にてご紹介しておりますので是非ご覧ください。
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ホンジュラスの風味傾向とその魅力
4−1 風味傾向 ‐優れたバランス、爽やかな香り‐
良質な中米産のコーヒー(ウォッシュト精製)には、柑橘果物を思わせる酸、ほどよいコク、主張しすぎない華やかな香りが伴ったマイルドな味わいのものが多く存在します。それはコーヒーの風味を語る上での「基本」であると私たちは捉えています。
ホンジュラスのコーヒーもまた、酸・コク・甘みのバランスに優れたマイルドな味わいが特徴的ですが、その中でも「若草のような香り」や「瑞々しい柑橘の果実味」から連想される【爽やかな印象】を感じられるコーヒーが多く、それがホンジュラスの魅力の一つです。その風味は、ホンジュラスの山奥の高標高地帯でさび病の難を逃れた伝統的なティピカやブルボンといった品種を、基本に忠実なウォッシュト精製を施すことで生み出されています。
4−2 多彩な個性を楽しめる ‐エリアブレンドとマイクロロット‐
堀口珈琲のホンジュラスは大きく分けると「エリアブレンド」と「マイクロロット」の2パターンが存在します。
「エリアブレンド」はそのエリアの複数の農家が生産したコーヒーを厳選してブレンドした商品で、現在販売中の「エル・シエロ・デ・セルグァパ」(コヤマグア県セルグァパ地区)、「ラ・ルス・デ・サンファニーヨ」(インティブカ県サンファニーヨ地区)、
「ラス・クレマス・デ・サンセバスチャン」(レンピラ県サンセバスチャン地区)がそれにあたります。
バランス良くマイルドな味わいの風味傾向は共通しつつも、エリアによってシャープな酸が特徴的だったり、クリーミーな質感が特徴的だったりと、繊細な個性の違いを感じることができます。ホンジュラスの風味傾向やエリア毎の特徴を捉えることができるコーヒーですので入口としても最適です。
一方の「マイクロロット」は単一生産者によるコーヒーです。よりトレーサビリティが明確であるため、エリアごとの個性だけでなく、品種による風味の違いや生産者の個性など、コーヒーの風味をさらに掘り下げて楽しむことができます。
現地生産者との継続的な取り組みの成果として品質が向上し、生産工程で発生し得るネガティブな風味を回避した「クリーン」なコーヒーが多く届くようになりました。それはつまり、エリア、品種、生産者ごとによる個性の違いを楽しむことのできる「多彩なホンジュラス」時代が到来していることを意味します。中には、風味が複雑すぎて上述した「ホンジュラスらしさ」を超越したようなコーヒーも。そんなコーヒーに巡り合うと嬉しくなると同時に、さらなるホンジュラスの飛躍に胸が高鳴ります。
✔ バランスに優れたマイルドな味わいに、爽やかな印象のコーヒーが多く存在する
✔ 高標高の環境下で生育したティピカ品種やブルボン品種を基本に忠実なウォッシュト精製で
✔ エリア毎の特徴を楽しむ「エリアブレンド」と、品種や生産者の多彩な個性を楽しむ「マイクロロット」
エリアブレンド
- 「エル・シエロ・デ・セルグァパ」
シティロースト 200g
1,500円(税込1,620円) - コヤマグア県セルグァパ地区のエリアブレンド。柔らかい口当たりに、ほのかに若草を思わせる香り。この若草のような爽やかで華やかな印象はホンジュラスのコーヒーならではです。フレンチローストも販売中。商品名はスペイン語で「セルグァパの空」。
- 「ラ・ルス・デ・サンファニーヨ」
フルシティロースト 200g
1,500円(税込1,620円) - インティブカ県サンファニーヨ地区のエリアブレンド。ミルクチョコレートの様な滑らかな触感と、ヘーゼルナッツを思わせるフレーバー。柑橘果実の様な甘みと穏やかな酸が、味わいに奥行きを持たせています。商品名はスペイン語で「サンファニーヨの光」。
- 「ラス・クレマス・デ・サンセバスティアン」
イタリアンロースト 200g
1,550円(税込1,674円) - レンピラ県サンセバスティアン地区のエリアブレンド。苦みと共に感じられる心地よい華やかさが、余韻までしっかり感じられます。極深煎りながらも、どこか品の良さを感じさせるコーヒーです。商品名はスペイン語で「サンセバスティアンの選りすぐり」。
マイクロロット
- 「エル・ポソ」
シティロースト 200g
1,700円(税込1,836円) - コヤマグア県セルグァパ地区のマイクロロット。品種は「ブルボン」です。華やかでさわやかな柑橘果実を想わせる風味で「ホンジュラスらしさ」を象徴するような一杯。滑らかな質感と、きび糖のような優しい甘さが心地よく広がります。
- 「ケブラダ・オンダ」
シティロースト 200g
1,700円(税込1,836円) - コヤマグア県セルグァパ地区のマイクロロット。品種は「ティピカ」です。ティピカ品種らしいシルキーな舌触りが特徴的で、柑橘果実に加えほんのりと赤系の果実の華やかさも感じられます。濃縮感があり、シティローストながら飲みごたえも感じられる一杯。
- 「エル・シプレサール」
フルシティロースト 200g
1,700円(税込1,836円) - ラ・パス県チャギテ地区のマイクロロット。品種は「IH90」です。カカオを思わせるほのかな酸と甘いコク。冷めてくると赤果実の様なフレーバーが顔を覗かせ、華やかさと品の良さも感じられるコーヒーです。 程よいコクと甘み、そして華やかなフレーバーが調和した一杯。
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これまでの道のり
ここからはホンジュラスと堀口珈琲のこれまでの歩みをご紹介します。
偶然の出会いから始まる飛躍の数年間をまとめました。お手元に届く、あるいはすでに届いた一杯がより充実したものになりますように。ぜひ、ご覧ください!
(ですが、あまり固くならず興味を持っていただけたところから覗いていただけますと幸いです。)
>>【開拓期】始まりはカッピング会での偶然の出会いから
>>【成長期】確かな手応えとエリアとしての魅力
>>【開花期】花開く多彩なコーヒー
【開拓期】始まりはカッピング会での偶然の出会いから:〜2017年頃
正直、数年前まではあまり取り扱ってこなかった産地でした。取り組もうとしなかった?そんなことはありません。長年に渡り目を配り続け、なかには優れたサンプルもいくつか手にしてきましたが、残念ながら経時劣化しやすいと予測されるものが多く購入を見送るケースがほとんどでした。
転機が訪れたのは2016年。当時の生豆買付担当(現社長の若林)が中米産のコーヒーが集まるカッピング会(テースティング会)に参加した時のことでした。エルサルバドルのナチュラルやコスタリカのハニーなど流行りのコーヒーに注目が集まる中、若林が立ち止まったのは他の参加者があまりいないホンジュラスのテーブルでした。
状態がフレッシュなためか渋みが強くフレーバーも穏やかだったこともあり、一見優れたコーヒーでないように感じましたが、じっくり見てみると明らかにクリーンで密度がしっかりと感じられる良質なコーヒーでした。「出来の良い年のアンティグア(サンタカタリーナ農園など)と並べても遜色ないのでは?」と衝撃を受けたと若林は語ります。
興奮を抑えられず、その場で翌年の商品化に向けて現地と一緒に取り組むことで一致しました。そうして到着したのがヘスス・ガレラス氏の手掛ける「ラ・ファルダ」や「ラ・フォルトゥナ」のコーヒーです。精製や流通の工程にまだまだ改善の余地がある上でこの十分なクリーンさと密度。お客様からの反応も上々。今後に期待せずにはいられませんでした。
【成長期】確かな手応えとエリアとしての魅力:2018年頃〜2020年頃
私達の強い関心と生産者の希望もあって産地訪問はすぐに決まりました。生産地「セルグァパ」は街から離れ山を越えながら悪路を進むこと数時間。もうこれ以上先は稜線しかない山間の小さな集落でした。精製設備はお世辞にも十分とは言えない状況でしたが、コーヒーの樹は元気そのもの。ティピカ品種やブルボン品種も多く残っていました。
現地のほとんどの生産者が集まり、品質や今後について話しました。まずは収穫の精度と精製を安定させることが重要で、それが品質に繋がり、結果として堀口珈琲もこの地域のコーヒーを買い続ける、その繰り返しが長期的なパートナーシップに発展することを伝えました。私達が買い続けることができれば、それを元手に設備の新設、更新も可能になり、彼らの生活安定にも繋がります。私達もおいしいコーヒーを日本の皆様にお届けすることができます。この時の率直な意見交換会で彼らとの距離がぐっと縮まったような気がします。
その後、着実に良いサイクルが生まれています。熟したチェリーのような甘みが特徴的な「エル・グルーポ」。香り、質感、酸、コクもほどよくバランスに優れた「ラ・アチャソン」。骨格がしっかりしつつもエレガントな印象も醸し出す「ロス・デルンボス」。ヘスス・ガレラス氏以外の生産者のコーヒーも徐々に届くようになりました。また、今後この「セルグァパ」は最高峰のホンジュラスコーヒーを生み出す地域となる、そうした期待を込めて同国初のエリアブレンドとなる「エル・シエロ・デ・セルグァパ(セルグァパの空)」も販売し、この地域の名刺代わりの一杯として多くの方に手に取っていただきました。
【開花期】花開く多彩なコーヒー:2021年
そして2021年、ホンジュラスの良さをしっかりと備えた、高品質で個性豊かな多彩なコーヒーが同時に入港しました。優しくきれいな酸に密度のあるボディ。それらのバランスが心地よく感じられるクリーンな味わい。良質なアンティグアを彷彿とさせる、そんなホンジュラスコーヒーの醍醐味に加えて、様々な焙煎度で光る特徴もしっかりと備えていました。
初年度からセルグァパのコーヒーに触れている私達にとっては、驚きとともにとても感慨深い気待ちです。いくつものサンプル焙煎の検証を経て、それぞれのキャラクターが最も魅力的に表れると感じた焙煎度を、悩みに悩んで選び抜きました。ラインナップ数の関係で泣く泣く販売をあきらめたコーヒーもありました。 “悩むことができる”ほど、良いコーヒーでした。
堀口珈琲とセルグァパ集落との取り組みが軌道に乗りだし、品質もみるみる向上していく結果を契機として、近隣のエリアにおいてもスペシャルティコーヒーの生産に舵を切るべく知識や技術が整備されはじめます。
2022年以降はセルグァパ以外にも、近隣のサンファニーヨ地区、サンセバスティアン地区、チャギテ地区、ピカーチョ地区からも素晴らしいコーヒーが続々と届き始めます。ホンジュラスの未来は明るい、そう確信させるようなコーヒーたちでした。