TOP > Viva!Brazil! 〜ブラジルの魅力、再発見〜
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高品質なブラジルを通年でご紹介します!
今期はブラジルから複数種類のコーヒーが届いています!
いずれの品質も良好で、一定の数量も確保することができました。今年はブラジルをたくさん楽しんでいただきたい!
そこで、今年は良質なブラジル産コーヒーを順番にご紹介していく特集を通年でお届けします!
タイトルはその名も「Viva!Brazil!」。
世界第一位の生産量を誇るブラジルにおいて、20年以上に渡って “品質”を追求してきた堀口珈琲による、初のブラジル特集です。
今回のために生産者への取材も実施し、おいしさの背景を深掘りしていきます。未体験の方はもちろん、長年のブラジルファンの方にも新たな魅力を発見していただけるような内容をお届けいたします!
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3つのポイントから知る
ブラジルのコーヒー
まずはコーヒー産地ブラジルについて、簡単にご紹介しましょう。
2−1 コーヒー産地ブラジルの地理的特徴
こちらは南米のマップです。
地図で見ると大きな国ですね。南米大陸最大の国で、面積は日本の22.5倍。
北部に赤道が通り、南回帰線が南部に位置するサンパウロ付近を通ります。つまり国土の大半がいわゆる「コーヒーベルト」の範囲内に含まれています。
とは言ってもブラジル全域でコーヒーが栽培されている訳ではなく、コーヒー栽培に適した気候や標高などの条件が揃う南東部のミナスジェライス州、サンパウロ州、パラナ州、バイーア州で主にコーヒー生産が行われています。
同じ南米大陸のコロンビアでは農地の標高が2,000m付近のコーヒーもありますが、今回の特集でご紹介するブラジルの標高はいずれも1,000m‐1,200m付近。
標高が低い=品質も低い? と思われるかもしれませんが、重要なのは標高そのものではなく、標高によって生じる昼夜の寒暖差。ブラジル南東部は緯度が高いため、標高1,000m付近でもしっかりとした寒暖差が生まれます。
2−2 ブラジル産コーヒーの風味傾向
他の生産国のコーヒーと比較して、酸味が穏やかなブラジルのコーヒー。良質なブラジルにはほどよいボディにローストアーモンドのような香ばしさを伴う甘みが感じられ、深めに焙煎するとカカオやチョコレートのようなニュアンスが引き立ちます。
酸味のある華やかなコーヒーより、コクのあるコーヒーを楽しみたいという方には特に好まれる産地です。
2−3 精製方法の違いとその風味
今回のブラジル特集では3つの精製方法(ナチュラル、パルプトナチュラル、ウォッシュト)のコーヒーを楽しんでいただきます。
伝統的にはナチュラル精製が採用されてきた産地ですが、品質向上(未熟豆の選別・除去)を目的としてパルプトナチュラルが実用化され、一部農園ではウォッシュト精製も行われています。
小規模生産者が香味の多様化を追求して複数の精製方法に挑戦するコスタリカとは違い、ブラジルでは大規模生産者が品質の向上を目的としてパルプトナチュラルやウォッシュトを実用化していった背景があります。
複数の精製方法が採用されているエチオピアやコスタリカ等と比較すると、精製方法による風味の違いは穏やかに感じられます。ウォッシュトは上述したようなナッツやカカオの風味が感じられ、ナチュラルはそこに熟した果実の風味がほんのりと加わります。
派手なナチュラルの香味はちょっと苦手という方もぜひ試してみてください。
>好みのコーヒーに出会うために知っておきたい4つの精製方法と味わい–(ブランドサイトへ)
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堀口珈琲とブラジル
ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、そのシェアは全世界の1/3にも上ります。世界のコーヒー文化を支える最重要生産国と言っても過言ではありません。もちろん日本のコーヒー輸入量もブラジル産が第1位。
汎用品として幅広く流通してきたため、私たち日本人にとってもブラジル産コーヒーはなじみのある風味でしょう。
そんな生産量に注目が注がれるブラジルにおいて、堀口珈琲は「品質の追求」をしてきました。創業当初から現地訪問の回数は数知れず、これまで約20種類のブラジルを扱ってきました。私たちが追求してきたのは、クリーンでキャラクターの明確なブラジルです。
それは「量の産地」ブラジルにおいて、品質を追求する生産者と巡り合えたからこそ実現できたことでもあります。
今回の特集ではそんな生産者達にフォーカスを当てていきます。「マカウバ・デ・シーマ農園」「ダテーラ農園」に続いてご紹介するのは「セルカ・デ・ペドラ・サンベネディート」。新たに堀口珈琲のラインナップに加わり、驚くほどクリーンな味わいでリピータ―続出の人気商品となりました。今回はブラジルとオンラインで繋ぎ、生産者のシルビオ・レイテさんにリモート取材をさせていただきましたので、その情報をお伝えしたいと思います!
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「セルカ・デ・ペドラ・サンベネディート」
そのおいしさの背景に迫る
4−1 高品質なコーヒーを数多く生み出す小さな町「ピアタン」
「セルカ・デ・ペドラ・サンベネディート」のコーヒーはブラジル東部の沿岸地域にあるバイーア州にて生産されています。これまで本企画で紹介してきた「マカウバ・デ・シーマ農園」「ダテーラ農園」があるミナスジェライス州の北側に位置しており、ブラジルのコーヒー産地の中でも緯度が低く、ペルー南部と同じくらいの緯度です。それだけで全てをはかることはできませんが、優れたピアタン産のコーヒーはコロンビア南部などのニュアンスも感じられ、いわゆるブラジルらしい風味とは少し異なる風味を呈します。
農園があるのはバイーア州のシャパダ・ディアマンティーナにある「ピアタン」という町。ブラジルの北東部の中で一番標高の高い町で、ブラジル全体の市町村の中でも12番目に標高が高いのだそう。人口僅か2万人の小さい町でありながら、ブラジルのコーヒー品評会(COE)入賞の約20%をこのピアタンのコーヒーが占めており、ブラジルの中でも高品質なコーヒーを生み出す地区として知られています。
4−2 シルビオ・レイテ‐異色の経歴を持つ生産者‐
ピアタン地区にポテンシャルを見出し、この地でコーヒー生産を始めたシルビオ・レイテさんは異色の経歴を持つ生産者。ヨーロッパのコーヒー流通業者の品質管理担当としてキャリアをスタートし、コーヒーのテースティング、グレーディングのスキルを習得。その後、ブラジルに戻りコーヒー輸出業者で収穫後の処理における品質管理担当として従事し、コーヒーの収穫や精製についての知見を広げていきます。
その傍ら、コーヒー品評会(COE)の共同発起人であるシルビオさんは、ブラジル・スペシャルティコーヒー協会認定のカッパーとして数々の国内・国際コンテンストのヘッドジャッジを歴任し、2014年にはブラジル・スペシャルティコーヒー協会の会長に。いわば、ブラジルのスペシャルティコーヒー業界を牽引してきた存在です。 そんなシルビオさんが、コーヒー輸出業を続けながらも、バイーア州のピアタンに7haの農地を購入し、かねてからの「コーヒー生産者になる」という夢を実現されたのは2019年のことでした。
「コーヒーの生産者になる」という夢を抱くきっかけについて、シルビオさんはこう語ってくれました。
「40年間、コーヒー業界のあらゆる分野に従事してきました。その中で、「自ら生産者になりたい」、そして「自分のキャリアの中で得た知見を広めていきたい」という夢を抱くようになりました。というのも、ブラジルの小規模生産者たちは、品質に影響を及ぼす収穫や精製に関する最新の研究結果や情報に触れることができていないことを実感していたからです。そこで、私が自ら生産者となり、私の農園の技術を他の地域でも応用できるようにシェアしていくことにしました。
つまり、私の夢はコーヒーの生産者になることだけではなく、他のコーヒー農家やコーヒー関係者、そしてコーヒーを飲むお客様も含めて、私の得た知見をシェアしていくことです。」
4−3 農園紹介
農地の面積は7ha。東京ドーム約1.5ha程の広さです。
コーヒー農園を始めるにあたってシルビオさんはこんなことを意識したそうです。
「中米のコーヒー農園のようにシェードツリーのある環境で、高品質なスペシャルティコーヒーを作ってみたいと考えました。つまり、持続可能性をきちんと担保し、自然環境との調和を図ることです。」
農園内にはウェットミル(精製施設)があり、長年のキャリアで得た知見を活かしてウォッシュト、パルプトナチュラル、ナチュラルといった様々な精製方法で腕をふるいます。
農園には農学博士を招き入れ、土壌と木の状態の分析結果をもとに施肥の年間計画を立案し、それとともに年間の全体的な農事計画や農事指導を提供してもらっています。それは自身の農園のためだけではなく、前述した「情報のシェア」の目的も兼ねており、近隣の農園主たちは農事指導を見学したり参加したりすることができます。
栽培している主要な品種はカトゥアイ。農園ではゲイシャやSL、パカマラなども実験的に栽培しているようで、いつの日か味わえる日が来るかも(?)。つい期待してしまいます。
今回皆様にお届けするのはカトゥアイ品種で、精製はパルプトナチュラルです。シルビオさんが手掛ける複数のロットの中でも、特に品質の優れたロットを堀口珈琲専用に仕立ててくださいました。
シルビオさんから堀口珈琲のお客様に向けてこんなメッセージをもらいましたよ。
「ブラジル・ピアタンのこの小さな農園から、堀口珈琲を介して日本の皆様に私たちのコーヒーを提供できることを光栄に感じています!今後も献身的に取り組み、皆様にコーヒーをお届けし続けたいと思います。」
昨年に初めてご紹介し、その驚くほどクリーンな味わいで瞬く間に当店における人気商品となったセルカ・デ・ペドラ・サンべネディートのコーヒー。シルビオさんの長年のキャリアで培った知識と技術、そしてコーヒー生産に対する夢や情熱が結実したその味わい、ぜひともご堪能ください!