SCAJ2024へご来場いただいた皆さま、ありがとうございました！
堀口珈琲ブースはお楽しみいただけましたでしょうか。

「01.クリーン」カウンターでは、スペシャルティコーヒーの前提となる“クリーンな素材”と“クリーンな焙煎”について解説しました。
「02.個性」カウンターでは、３つのコーヒーを一緒にテイスティングして“スペシャルティコーヒーらしい個性”について理解を深めましたね。

＜３つの個性＞
・コスタリカ「【グラニートス】オルティス2000」シティロースト
・インドネシア「マンデリン“オナンガンジャン”カルドン・エステート」シティロースト
・エチオピア「ゴロ・ベデッサ　ウォッシュト」シティロースト

堀口珈琲は年間100種類以上のシングルオリジンを提供しています。そんな私たちがSCAJ2024でスペシャルティコーヒーの個性をわかりやすく体験していただくためにこの３つを選びました。

理由は、現在提供できるシングルオリジンの中でも特に出来の良い“当たり年”のコーヒーだからです。

コーヒーはあくまでも農産物です。天候などその年の変動要因に対し敏感に影響を受けるため、品質は毎年必ず変動します。
良い年も難しい年も一定水準以上に仕上げてくれる、一般的には難しい年だったとしても例年以上の品質に仕上げてくる、堀口珈琲が付き合っている生産者はそんな方たちばかりですので、通常は「当たり年です」といった紹介の仕方はあまりせず、その年その年のゆらぎを楽しんでいただくことを基本としています。

今回はSCAJという楽しみのイベントでしたので、たまにはということで「当たり年コーヒー2024」をテーマに３つのコーヒーを選抜しました。

明確な個性を放つ素晴らしいコーヒーですのでお見逃しなく。

オルティス2000からは毎年一定水準以上の品質のコーヒーが届きますが、農地の標高が非常に高く厳しい環境であるためにチェリー栽培には困難が伴います。そもそも品質を安定させることが難しい農地であるにもかかわらず、今年は特に素晴らしい品質に仕上げてくれました。

初めは何気ないコーヒーに感じるかもしれませんが、じっくり味わうにつれその奥深さに驚かされることでしょう。まずは“綺麗さ”を味わってください。口に含む瞬間から飲み終えるまで、一切の引っかかりがなく、滑らかに広がります。華やかで上品な香り、澄んだ柑橘の酸味、そして厚みのある口あたりが、高次元で調和しています。

毎日数十種類のコーヒーを並べ風味をチェックしていますが、その中でも今年のオルティスは特別です。その透き通るようなクリーンさと、鋭くも優美な酸味が、静かに心を揺さぶります。

「マンデリン」は誰もが知る特徴的な風味を持つコーヒーですが、その真髄を味わったことがあるでしょうか？
その鍵を握るのは「品種」です。

堀口珈琲が通年で販売しているマンデリン「オナンガンジャン」は、伝統的なマンデリンの風味を表現する品種だけに厳選して仕上げられた特別なマンデリンです。構想から10年、現地の生産者たちの多大なる協力によって、この一杯が実現しました。 「カルドン・エステート」は、そんなマンデリン「オナンガンジャン」の中でも私たちが特に信頼を置く若き生産者カルドンさんによって手掛けられた特別なロットです。

今年で4年目を迎えましたが、年を追うごとに精度は向上しており、毎年ブラッシュアップされた最高品質を届けてくれています。 今期、際立つのはその口あたりです。「シルキー」と形容したくなるほどの滑らかさは、飲むたびにうっとりするほどです。マンデリンならではのハーバルな香りと、ミルキーな甘みがより一層引き立っています。

「ゴロ・ベデッサ」は登場して間もない新しいコーヒーですが、このコーヒーを作り上げたメクリアさんとは10年以上に及ぶ長い付き合いになります。

かつて当店の生豆バイヤーが膨大な数のエチオピアコーヒーをテイスティングする中で、圧倒的な個性を放つコーヒーがありました。そのコーヒーを手がけていたのがメクリアさんで、2014年の産地訪問で対面し、そこから二人三脚で最高品質のエチオピアの追求がスタートしていきます。当時彼のもとを訪れた際、イルガチェフェとグジの魅力を広く知る彼に「この地域で理想のコーヒーをつくるとしたらどこですか？」と尋ねたことが、今に繋がっています。メクリアさんはこの何気ない質問に向き合い続けてくれ、7年後の2021年に一つの答えとして実物で示してくれたのが「ゴロ・べデッサ」です。

フローラル、フルーティー、スパイシー。さまざまな魅力的な言葉で表現されるエチオピアのコーヒーの中でも、今期の「ゴロ・べデッサ」は別格です。風味の要素が驚くほど豊富で、柑橘や白桃といった“イルガチェフェ”らしい果実感に、赤系や黒系の果実味が重なり、濃厚な甘みが広がります。次から次へと口の中に膨らんでいく風味に、「これが複雑さか」と納得できることでしょう。これを飲まずして2024年のスペシャルティコーヒーは語れません。