TOP > オンラインストア担当がゆく 突撃！横浜ロースタリー
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はじめに
こんにちは、オンラインストア担当の鴻江です。
いつも当店のコーヒーをお楽しみいただきありがとうございます。
私たちがみなさまにおいしいコーヒーを届けるための生産拠点「横浜ロースタリー」。
おかげさまで、今年開業5周年を迎えることが出来ました。
日頃から堀口珈琲をご利用いただいているお客様に、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
そんな感謝の気持ちと、今後も真摯にコーヒー作りに取り組む決意を込めて、横浜ロースタリー開業5周年記念アイテムを作りました。
今年待望のデビューを果たした「ドリップバッグ」を横浜ロースタリー限定仕様のパッケージで販売します。
ロースタリーの三角屋根を模した、かわいらしいパッケージ。
堀口珈琲の哲学が詰め込まれた、深煎りの王道の味わいをお楽しみいただけるドリップバッグです。
5周年期間中の限定販売のため、ぜひこの機会にお買い求めくださいね。
ドリップバッグ
「YOKOHAMA ROASTERY」
堀口珈琲が誇る王道の深煎りらしい香りと苦み・甘み、滑らかな口当たりが楽しめます。
販売価格（6袋入）：1,500円（税込1,620円）
……と、商品の宣伝をして終わるだけでは少し味気ないです。
折角なのでもう少しだけ続けます。
開業5周年を迎えた「横浜ロースタリー」。
みなさまはこの三角屋根の中でどのようなことが行われているかご存じでしょうか？
特集記事の端々でロースタリーでの焙煎風景や、働くスタッフの様子を掲載しているため、存在自体をご存じの方はそれなりにいらっしゃるかと思います。
ですが、実際に中はどうなっているのだろう？と疑問をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
そこで今回はオンラインストアをご覧のみなさまに「横浜ロースタリーの内側」を知ってもらうべく、私鴻江がロースタリーに直接訪問し、その見どころやこだわりのポイントをご紹介します。
普段の特集記事では伝えたいことを書きすぎてしまうあまり、お勉強テイストになってしまいがちなときがありますが、今回はちょっとした読み物のような形でお届けしますのでリラックスしながらお楽しみください。
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横浜ロースタリーってどこにあるの？
さて、場面は変わり訪れたのは神奈川県横浜市。電車を降りた先はみなとみらい線の「元町・中華街駅」です。
横浜の有名な観光名所といえば「みなとみらい」や「中華街」が真っ先に思い浮かぶ人が大多数かと思います。かく言う私も、「横浜と言えば？」と言われて思い浮かぶのがこの2つ。実はそんな場所へ、歩いて行けるような駅が横浜ロースタリーの最寄り駅です。
このまま中華街でおいしいものを食べ歩きでもしたいところですが、そんな甘い誘惑を背に振り切りながら港湾地区の方へと向かいます。
夏の暑さで、少しばてつつ……。
歩いて約20分が経ち、ようやく見覚えのある三角屋根の建物が見えてきました。
今回の主役、横浜ロースタリーに到着です。白を基調としたデザインに、冒頭のドリップバッグでも見ていただいたような特徴的な三角屋根です。 限定デザインのドリップバッグを作成する際には、「どうしてもこの形にしたい！」というわがままなお願いをしてメーカーさんに作ってもらいました。
ちなみに取材時は9月というのに真夏かと思うような酷暑。到着時には汗だくです。
「……ちょっとおしゃれな感じを出したかったから横浜を選んだのか」
と思ってもいない恨みやつらみを言いたくなる気持ちが湧いてきますが、ロースタリーがこの地にあるのにはちゃんとした理由があります。
コーヒーの原料である「生豆」。その多くは、世界各国の原産国から船で日本に届きます。 主にコーヒー豆の玄関口となるのは「神戸港」と「横浜港」ですが、そのうち横浜港では日本に届くコーヒー豆の約半分程度が荷揚げされます。 私たちが扱うほとんどのコーヒー豆もその対象。荷揚げ後すぐに港湾内の温度管理が施された倉庫内に保管されます。
この後倉庫で保管された生豆を焙煎所まで運ぶ必要がありますが、その搬送過程では真夏の猛烈な暑さや真冬の過酷な寒さでダメージを受け、品質が劣化する可能性があります。 そのため、このダメージを最小限に抑えられるような工夫ができないかと考えた際、保管倉庫と焙煎所を可能な限り近づける選択肢を選ぶに至ったわけです。
ちなみに倉庫とロースタリーの直線距離はわずか600m。最寄りの駅からロースタリーまでを歩く道のりよりも遥か近くに隣接しています。ロースタリーは移動には少し不便な部分もありますが、コーヒーを第一と考えた作りにしているのが見て取れます。 （※今回は演出の都合上歩きましたが、ロースタリーで勤務しているスタッフはレンタルサイクルなどを活用して通勤しています。）
挨拶代わりと言ってはなんですが、生産者が届けてくれたコーヒー豆に対して“ここまでする”という私たちの本気度の一端を感じていただけたのではないでしょうか。
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いざ、ロースタリーの内部へ！
では今回のメインコンテンツ。実際にロースタリーの中へ潜入していきます。場内に入り、まず進んだ先にはロースタリーの各工程が一望できるガラス越しの通路があります。
積まれたコンテナ。音を立てながら回り続ける焙煎機。ところどころに張り巡らされたホース。各持ち場で作業を行うスタッフの様子が見通せるような作りになっています。ここから見える大きな機械が何台も並ぶ姿には、訪れる度に少しだけテンションが上がってしまいます。
横浜ロースタリーの場内図
ここで、横浜ロースタリーの主な工程を簡単にお伝えすると
「�� 生豆の搬入」→「�∪呼Δ竜ヽＡ�別」→「��焙煎」→「�み篝�豆の機械選別」→「�ミ篝�豆の手選別」→「�Α憤貮凜▲ぅ謄爐如縫屮譽鵐鼻廣�「�Д僖奪�ング（充填）」→「��焙煎豆の出荷」の順番で行われています。
なお、これらの作業は品質と衛生の両面を考慮した管理体制を敷いているため、必要に応じて部屋が分かれています。
本来ならば、この施設内のすべての工程を丁寧に説明したいところですが、今回は特に注目していただきたい�◆銑イ旅�程を担当者にレクチャーしてもらいながら実際に体験します。
（なお横浜ロースタリーの細かいご紹介はブランドサイトの「横浜ロースタリー特設ページ」でもご紹介しています。
今回の記事内で触れることが出来なかった部分はこちらでも確認してみてください。）
ロースタリーと銘打つからには、「焙煎」の工程に目が行きがちですが、このロースタリーにおいては「焙煎前後」の工程にも注目です。
1.生豆の選別
ロースタリーの見どころが早くもやってきました。
それが生豆の選別作業です。
コーヒーに少し詳しい方であれば、焙煎後に異物や色づきが悪いものを手で取り除く作業があるというのはご存知かもしれませんね。
選別作業はおいしいコーヒーを作り上げるためには欠かせない、非常に重要な作業の一つです。
そんな選別作業を、ロースタリーでは焙煎前の生豆の段階から徹底的に行っています。私たちと同じ規模のロースターで生豆の選別を行っている例はほぼないと思います。それくらいこのロースタリーでは力を入れている部分。生豆の選別は機械によって行っています。
取材当日、近くの倉庫から搬入された生豆を実際に選別していきます。 今回、生豆の選別体験をした品目はグァテマラ「トラベシア農園」。 ちょうど限定デザインのドリップバッグでも使用しているコーヒー豆です。
生豆を梱包している麻袋や段ボールは衛生上、次の区画へ持ち込まないようにしています。
スタッフの山本君に手伝ってもらいながら空気搬送機へ生豆を吸い上げ、隣の部屋にある生豆選別機（ベルトゥーザ）へと送ります。
（ちなみに山本君が支えてくれている生豆の袋は30kg近くあります。軽々しく支えていますが、実はかなり重たいです。）
送り込まれてきた生豆を機械で選別していきます
ベルトゥーザに送り込まれてきた生豆はカラーカメラと近赤外線カメラで選別され、異物や不良豆は弾かれていきます。
選別を行ったトラベシア農園で弾かれた不良豆はわずか数グラム。やはり長年のパートナー生産者ペドロさんが手掛けたというだけあって丁寧な仕事が見て取れます。
時にはこういった小石や麻紐などがでてくることも
なお、ここで取り除かれた不良豆の量や異物の情報は細かく記録しておきます。そうすることで生産者と品質改善の話し合いをするための重要な材料にもなります。
ロースタリーに届く生豆は基本的にすべてこの選別作業を行っています。ちなみに、生豆は週に数回届きますが繁忙期には約1トン近い生豆が届くこともあるそう。これを同じ手順で一袋ずつ、すべて選別機に通すのは聞いているだけで気が遠くなるような作業です。
選別を終えた生豆はすぐに使うのではなく、定温管理された保管庫の中で少し寝かせて生豆の温度を均一にしています。 こうすることで、次の「焙煎」の工程で焙煎機に投入する際の生豆の温度を可能な限り揃えています。環境を揃えることで、焙煎を安定させることを目的としているそうです。
さて、次の焙煎工程とは壁で隔てられているので、再び空気搬送機の出番です。
次は選別された豆を焙煎機へと送り込んでいきます。焙煎工程で使用する焙煎機は2台あり、それぞれに搬送する豆が異なります。
誤って異なる焙煎機に生豆を送ってしまわないようにインカムを使ってロースターとコミュニケーションを取りながら搬送を進めていきます。
ロースターへ送る生豆の内容を確認。間違えてしまうと取り返しがつかないため緊張が走ります。
慎重に送り届けます。
焙煎機を上から見た図。
搬送された生豆は焙煎機上部の銀色のホッパーへ送られます。その後、ロースターのタイミングで炉内へ入れられ、焙煎が進んでいきます。
2.焙煎工程
前の工程で選別が終わった生豆はパイプを通り、実際に焙煎されていきます。
ここで焙煎のことを教えてくれたのは、主任ブレンダーの秦さん。
焙煎をさっそく体験してみよう、というわけにはいかないので焙煎作業を横で見ながらいろいろと話を聞いてみました。
まずは焙煎機のことを教えてくれました。現在の横浜ロースタリーでは2台の20kg焙煎機が同時に稼働しているが、これはこのロースタリーに移設してから実現可能になったとのこと。
もともと横浜ロースタリーができる以前は狛江店の中に併設されていた焙煎所で焙煎を行っていました。
当時も2台の焙煎機を使用していましたが、排気の関係で同時に稼働することができずにいたため、同時稼働できるようになって製造能力が飛躍的に向上したそうです。
２つある焙煎機はそれぞれ微妙に特性が異なるため、焙煎度合いや焙煎する品目に応じて使い分けているそう。
焙煎機はコンピューター管理されており、焙煎ログの管理やガス圧等、焙煎で必要なパラメータを記録することができます。
各バッチで焙煎記録は全て残しており、過去のデータと比較しながら日々最適な焙煎を探っています。
驚いたのは、焙煎機の操作自体は熟練のロースターでなくてもできるような仕組み作りをしているという点。
誰が焙煎の工程に入っても品質を一定に保てるよう品目ごとに焙煎の指示書を作成して、この内容の指示通りに焙煎機を動かすようにしています。この指示書に従えば、若手のロースターであっても焙煎の作業を行うことができると言います。
ただし焙煎豆の品質を担保するために、この指示書を作成・更新できるのは秦さんを含むベテランのロースターだけに限られているそうです。焙煎豆の品質評価や焙煎プロファイルの調整はやはり熟練の経験が問われる領域のようです。
そのため若手のロースターはまず焙煎機の操作を覚えるところから始め、その後仕上がったコーヒー豆を見ながら所感を蓄えていきます。そしてベテランロースターとすり合わせをしながら、どう焙煎を調整していけばいいのかを少しずつ学んでいきます。
煎り止め（焙煎終了）の作業だけ体験させてもらいました。
ハンドルの重みと焙煎機から漂う熱気、そして煎り上がったコーヒーの香り。どれをとってもこの工程ならではの臨場感が満載でした。
3.焙煎後の選別その1（機械選別）
ロースターが仕上げた、焙煎後のコーヒー豆。
いよいよパッキングへ……と思いきや、再び選別の時間がやってきます。
注目すべきはその回数。生豆の段階で既に1回選別を終えているものの、さらにここから2回も選別を行います。先ほども登場したベルトゥーザ（機械）を通したのちに、最終チェックは人の手で選別を行っています。
まずは機械による選別です。昇降台をのぼり機械の上から焙煎豆を入れていきます。
焙煎後に使用しているベルトゥーザでは、色味の違い感知し不良品を弾いていきます。約30種類ほどの選別設定が用意されており、品目に合わせて都度調整を行っています。（機械の見た目は生豆の選別で使用しているものと似ていますが、センサの仕組みや設定が異なっています。）
選別された焙煎豆
4.焙煎後の選別その2（ハンドソーティング）
機械での選別が終わるといよいよクライマックス。最後に人の目と手で選別を行っていきます。既に2回の選別を終えているコーヒー豆をさらに磨いていきます。
正直、「機械で2回も弾いているんだから、もう取るものないでしょ！」
と言いたいところですが、そう簡単にはいきません。実際に私もこのハンドピックを体験して、それを実感することに。
「全然取れそうな豆がない……」
目を全開に開きながら、不良豆や規格外の豆を探しますがなかなか見つけられません。
それもそのはず。機械による選別で一目見て判別できるようなものは弾いているので、ここからは機械が苦手とする微細な差異のものを取り除く必要があるからです。
何とか取ってみたものの、時間はかかるし精度もイマイチ。かと言って疑わしいものを大雑把に取ってしまうと、ここまで精一杯磨いてきた素晴らしいコーヒー豆を無駄に捨ててしまうことになります。
前職でハンドソーティング自体は経験していたこともあり、もう少し頑張れると思っていただけに少し凹みました。見ている分には簡単そうに見えても、体験してわかる難しさを改めて実感しました。
一方、隣でハンドソーティングを教えてくれた田中さんはその5倍くらいのスピードで、過不足なく多くの不良豆や規格外品を取り除いていました。
ちなみに品目ごとに、ハンドソーティングで取り除く対象の豆の基準は細かく決められており、「このコーヒー豆なら、何秒以内に」と作業時間の目安もしっかりと決めているそう。生産性と正確性を意識した仕事をしています。
田中さんが取り除いた豆。同じ時間で作業したとは思えません。
こんな大変な作業を1日中、同じペースで、何日も続けている。同じ会社にいながらも、こうやっておいしさを守ってくれる同僚達には本当に頭が上がりません。いつもありがとう、と心のなかで呟いたのでした。
こうして何重にもわたって磨き上げられたコーヒーがこの後パッキングされ、店頭やお客様の手元に届くコーヒーとして表舞台に立っているのです。
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おわりに
この特集の始まりには少しだけ紹介と伝えていましたが、書きたいことが多すぎて結局長くなってしまいました。（本当はもっと書きたかったです……が今回はここまで。次はまたの機会に。）
今回の企画で横浜ロースタリーの中の様子は少しでも伝わったでしょうか。
私たちは「スペシャルティコーヒーと呼ばれるものの中から、さらに選りすぐった素晴らしいものだけを取り扱っている」とお伝えすることが良くあります。
しかしながら品質を支える工程は生豆の調達だけでなく、ロースタリーでの選別や焙煎なども深く関わっており、日々もっと良くならないかとアップデートを重ねています。
生産者の方々が届けてくれたコーヒーを、さらに磨き上げて最高の状態でお客様へお届けする。その中核を担う心臓部としての役割を果たしているのが、「横浜ロースタリー」です。
今回の特集を機に、私たちのコーヒーに対する熱意や想いを感じ、そして横浜ロースタリーという存在を改めて知っていただけたら幸いです。
今回登場したアイテム
ドリップバッグ
「YOKOHAMA ROASTERY」
堀口珈琲が誇る王道の深煎りらしい香りと苦み・甘み、滑らかな口当たりが楽しめます。
手軽に手に取っていただける商品ですが、特集で紹介した選別・焙煎の工程をすべて経て製造されています。
販売価格（6袋入）：1,500円（税込1,620円）
最後に横浜ロースタリー見学会のご案内です
横浜ロースタリーでは毎月数回、場内の見学会を実施しています。
コロナ禍の影響もあり、一時的にお休みをしていましたが今年になってから再開しました。
今回私がご紹介した作業を実際にご覧いただけたり、製品になった良品と選別で取り除いた規格外品を飲み比べできたりします。
ここだけでしか話せない裏話も聞けるかも......！
この特集で興味をもって下さった方はぜひ遊びに来てくださいね。
（横浜ロースタリー見学会のご予約フォームは以下からご覧ください。）
