TOP > シングルオリジンのその先へ ―産地の個性を超越したコーヒー―
高標高、特別な微気候、伝統的な品種や精製……etc。
優れたシングルオリジンには「産地の個性」を生み出す背景があります。
その背景を理解し、“産地らしさ”を味わう。
シングルオリジンを楽しむ醍醐味です。
そこで今回の特集は
「シングルオリジン」「産地の個性」
……、ではなく
「シングルオリジンのその先」
「産地の個性を超越したコーヒー」です。
一体どういうことでしょうか?!
どうぞお楽しみください。
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産地の個性を超越したコーヒーとは?
「産地の個性を超越したコーヒー」とは?
端的に言うと“品質が高すぎるコーヒー”です。
高い品質の生豆を求め続けると、風味の密度はより高まり、風味の種類はより多くなっていきます。進みすぎると、高まりすぎ、多すぎ、に行き着きます。そこで得られるのは“複雑すぎる風味”です。
そして、その結果がもたらすのは“産地らしさが見えにくくなる”という事象です。品質が高すぎて、風味が複雑すぎて、背景が分かりにくくなる、というパラドクスです。
産地の個性を楽しむというシングルオリジンのその先には、産地らしさが分かりにくくなるほどの複雑な風味を備えたコーヒーがあります。そんなコーヒーに出会えた時、驚きや感動を覚えます。
2023年9月。東京ビッグサイトで開催されたスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ2023」(※)。
約7万名が訪れたこのイベントに、堀口珈琲は10年ぶりに出展し、シングルオリジンの到達点ともいうべき「産地の個性を超越したコーヒー」を試飲提供しました。
今回はそんなコーヒーたちをオンラインストアでも紹介したいと思います。
何を隠そう、われわれオンラインストア担当もブースに立って提供しておりましたので、試飲されたお客様の反応なども交えながらご紹介します。
※「SCAJワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2023」
生豆の輸入業者をはじめ、各国のコーヒー生産者、全国のロースターやコーヒー関連業者が出展し、
近年は日本中のコーヒーファンが押し寄せる非常に活気のあるアジア最大級のスペシャルティコーヒーイベントです。
会場:東京ビッグサイト
会期:2023年9月27日(水)〜 29日(金)
イベントの様子は当社ブランドサイトの記事「SCAJ2023「スペシャルティコーヒーってなんだろう?」」にて詳しくご紹介しております。
本特集でご紹介する商品
- エチオピア 「【ウォルカ】アダメ・マゾリョ」
シティロースト 200g
1,700円(税込1,836円) - 堀口珈琲の追求心が具現化された【ウォルカ】の集落指定ロット。
- インドネシア 「マンデリン“オナンガンジャン”カルドン・エステート」
シティロースト 200g
1,800円(税込1,944円) - 現地では異例中の異例である「単一品種、単一生産者」のマンデリン特別ロット。
- イエメン 「バニ・ナヒミ ナチュラル」
フレンチロースト 200g
3,200円(税込3,456円) - 堀口珈琲屈指の個性派イエメン産コーヒーを深煎りで。
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産地の個性を超越したコーヒーたち
「これが普通のエチオピアだと思われたら困る」
―エチオピア【ウォルカ】アダメ・マゾリョ
エチオピアの個性といえば“華やかな果実感”。特に名産地イルガチェフェのコーヒーにはフローラルな香りにレモンのような明るく瑞々しい酸が感じられ、世界中で愛される“イルガチェフェらしさ”があります。
堀口珈琲は古くからそのイルガチェフェの風味に魅せられ、幾度となく現地を訪れては良質なエチオピアを追い求めてきました。そして辿り着いたのがイルガチェフェ近郊ゲデブ地区にある【ウォルカ】の4つの集落のコーヒーです。
上述した“イルガチェフェらしさ“を内包しながらも、【ウォルカ】のコーヒーには白い果実や赤い果実などの多彩な果実感、スパイシーなニュアンスも加わり、複雑。その高すぎる品質に、当社の生豆バイヤーは「これが普通のエチオピアだと思われたら困る」と漏らします。
SCAJ2023では【ウォルカ】のアダメ・マゾリョ集落のコーヒーを提供。試飲した方は「え、これナチュラルではなくウォッシュトなんですか?」「シティロースト(中深煎り)なのに、こんなにフルーティなんですね…」と驚かれていました。それほどまでに、複雑で豊かな果実味。
滑らかな質感、クリーンさが、その個性をより際立たせます。
堀口珈琲の【ウォルカ】は集落指定の特別ロット。よりトレーサビリティを明確にし、クリーンさと個性を突き詰めた先に、イルガチェフェらしさを超越した高すぎる品質のコーヒーに出会うことができました。
エチオピア 「【ウォルカ】アダメ・マゾリョ」 シティロースト 200g
販売価格:1,836円(税込)
「こんなマンデリン飲んだことない…」
―インドネシア オナンガンジャン カルドンエステート
インドネシアのマンデリンといえば、独特の風味で“産地らしさ”をわかりやすく感じられるコーヒーの一つ。その風味はなめし皮、森の湿った土、ハーブ、トロピカルフルーツなどとも表現されます。
堀口珈琲のマンデリンといえば「LCFマンデリン」と「マンデリン“オナンガンジャン”」。
今回ご紹介するのは「マンデリン“オナンガンジャン”」の特別ロット「カルドン・エステート」です。
口に含んで感じられるのはジューシーな果実感。マンデリンといえばどっしりとした苦味の深煎りを思い浮かべる方も多いと思いますが、高すぎる品質のマンデリンのシティロースト(中深煎り)は、瑞々しい果実感が際立ちます。
柑橘果実や、マンゴーやパッションフルーツを連想させる南国果実のニュアンス。そこにハーバルなフレーバーも加わる複雑さ。
SCAJで試飲した方はその瑞々しくフレッシュな果実感に「こんなマンデリン初めて飲んだ…」と驚かれていました。
フレンチロースト(深煎り)まで焙煎を進めると、上述した果実味に完熟プルーンのような黒い果実のニュアンスも加わり、どこか力強さと繊細さを兼ね備えた赤ワインを彷彿とさせてくれます。
この高すぎる品質は、現地で僅か1%とされるティピカ系の伝統品種だけを集め、生産者カルドン氏の手によって丁寧な収穫と精製が施された「単一品種、単一生産者のロット」であるが所以です。 小規模生産者がさまざまな品種を栽培する現地において、それは実現不可能とさえ言われていました(詳しくは商品ページで語っています)。マンデリンを追求し続けてきた堀口珈琲が辿り着いた、到達点とも言うべきマンデリンです。
インドネシア 「マンデリン "オナンガンジャン"カルドン・エステート」 シティロースト 200g
販売価格:1,944円(税込)
「特殊な精製方法じゃないのにこのフレーバー?!」
―イエメン バニ・ナヒミ ナチュラル
コーヒー飲用はじまりの地、イエメン。その歴史は1000年以上遡るとも言われています。
伝統的にナチュラル精製が採用されている産地で、精製由来のベリー系の果実味を感じつつ、ドライフルーツのような甘さ、バニラやシナモンを彷彿とさせる香り、赤ワインやブランデーといった洋酒を思わせる熟成感があり、その風味には他国のナチュラルとは明らかに異なる独特の“イエメンらしさ”があります。
一方で、これらの風味を綺麗に感じることができる良質なイエメン産コーヒーに出会える機会は稀でした。
「国内における流通の問題」により“良質なイエメン”が日の目を見ることは少なく、また国内の情勢不安などから流通経路も不透明になりがちで、時には他国の豆を混ぜて売るなど、
トレーサビリティが不明確でブラックボックス化してしまっているという現状があります(詳しくは昨年の特集記事「YEMEN2.0」参照)。
堀口珈琲のイエメンは、"イエメンらしさ"を綺麗に感じさせてくれるだけでなく、フローラルな香り、柑橘や南国果実を彷彿とさせるフレッシュな果実味をも感じることができ、とにかくフレーバーが複雑です。
SCAJでは「ガルビ」フレンチローストを提供。試飲した方は「これって、特殊な精製方法なんですか…?」というリアクションをされ、伝統的なナチュラル精製であることを伝えると驚きの表情を浮かべていました。
今回は「ガルビ」と同じハラーズエリアから「バニ・ナヒミ」をお届けいたします。イエメンのコーヒー流通に革命を起こした若者達から届いた素晴らしいコーヒーを、堀口珈琲の焙煎技術でフレンチロースト(深煎り)に仕上げました。
イエメン 「バニ・ナヒミ ナチュラル」 フレンチロースト 200g
販売価格:3,456円(税込)
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さいごに‐SCAJ2023で配布したタブロイド紙を販売します!‐
今回の特集では高すぎる品質の「産地の個性を超越したコーヒー」をご紹介しました。これらは一つの到達点とも言うべきコーヒーです。
その背景には、スペシャルティコーヒーが辿ってきた歴史があり、スペシャルティコーヒーの前提条件である“クリーンさ”を担保するための様々な取り組みがあります。
そんな“なりたち”を認知すると、今回ご紹介したコーヒーをより深く、より楽しく感じていただけると思います。
SCAJ2023では「スペシャルティコーヒーってなんだろう」というテーマを掲げ、コーヒーの試飲提供だけではなく、16ページにおよぶタブロイド紙を配布しました。スペシャルティコーヒーの歴史、風味、前提条件……。スペシャルティコーヒーについて、2023年現在の堀口珈琲が考えることぎっしり詰め込みました。
これを読めば、スペシャルティコーヒーについての理解がより深まり、皆様のコーヒーライフがより豊かなものになるはず。この内容、会場配布だけで終わらせるのはもったいない……! ということで、堀口珈琲のオンラインストアや各店舗で販売することにしました。SCAJ2023に来場できなかった遠方の方も多くいらっしゃると思います。是非この機会に手に取り、本特集で紹介したコーヒーと共にお楽しみいただけますと幸いです。