<主任ブレンダー秦のコメント>
洋酒を思わせる芳醇な香り。熟した果物の甘み、華やかさを兼ね備えています。派手な香りや味の密度も感じさせつつ、余韻の上品さが素晴らしい。品の良いナチュラル。
管理者:ボニージャ・ソリス家
地域:サン・ホセ州タラス市ハルディン
標高:1,950〜2,100m(ビジャサルチは2,050mまで)
品種:ビジャサルチ
精製:ナチュラル
コスタリカの一大コーヒー生産地域である"タラス"は首都サン・ホセの南側に位置しています。
ドン・マジョミルはタラスの中心から北東側の場所にあります。今回販売するエル・ハルディン農地は更に北側に進んだところに位置しています。(地図データ: Google、DigitalGlobe)
農地は西向きの斜面にあります。ビジャサルチ品種は頂上部よりも少し低い1,950〜2,050メートルの場所で栽培されています。(地図データ: Google、DigitalGlobe)
エル・ハルディンという農地を取得したのが2013年。収量よりカップクオリティを優先した栽培を行いたいという思いから手に入れたそうです。
彼が管理者のヘクトルさん。エル・ハルディンでは標高の高い場所での栽培に適したビジャサルチとゲイシャのふたつの品種を栽培しています。今回販売するのはビジャサルチ品種です。この品種は非常に生育がよく、植えた翌年にコーヒーチェリーを収穫できました。
はち切れんばかりに見事に熟したチェリー。このまま食べても十分美味しそうです。
売りに出た当時は牧草地で、取得後にあぜ道の整備や区画分け、コーヒーの新植とゼロからコーヒーの農地作りを行いました。大変だったのは道とコーヒーを植えるためのテラス(段々畑)の整備で、土壌がさらさらと崩れやすかったため固める作業が大変だったそう。しかし、テラスをつくることで収穫作業の効率が向上し、有機物の保持に繋がるため手を抜かずしっかりと行っています。
こちらは今回の販売と関係がないですがゲイシャ品種の区画です。2,100m近いゲイシャの区画ではやはり標高が高すぎ低温かつ強風が厳しく思うように発育しないそうですが、一方2,000m付近の区画では順調に育っており、昨年も皆様にお届けすることができましたね。

上が父親のヘクトルさん、下が長男のパブロさんです。ヘクトルさんはそろそろ引退して、農地の管理を息子たちに譲りたいと言っているそうですが、若林によるとまだまだ頑張りそうな気配だとのこと。現場でコーヒーと向き合うのが本当に好きなのでしょう。
彼らはこのハルディン農地を「colegio(学校)」だと言っています。
これまでにチャレンジしてきたどの農地よりも標高が高く、また地理的に太平洋・大西洋双方から湿った大気が押し寄せ、霧や雨、強風をもららす厳しい環境であること、これらに対して必ずしも従来の知識や経験が通用しないことがあり日々勉強だ。そんな意味を込めてそう呼んでいるそうです。しかし、そんな過酷な環境に耐えたコーヒーはやはり豆の均一さや熟度においても素晴らしく、甘みをぎゅっと蓄えた見事なカップです。皆様をきっと満足させる一杯となるでしょう。
霧が出るとこのような様子。
ドン・マジョのミルには日本語の歓迎文も書かれていました。日本の市場を大事に考えてくれている彼らの心意気が伝わってきます。
ドン・マジョではウェットミルのほかにドライミル設備も所有していて、自分たちで最後まで商品を手掛けています。
彼らはこの小屋で自分たちが栽培したコーヒーをローストして味のチェックを行っています。品質に納得がいかないロットは自らグレードを下げて販売するなど徹底しています。
左から一家の大黒柱であるヘクトルさん、息子のホセさん(弟)、パブロさん(兄)です。現在はそれぞれ役割を分担してミルを運営しています。