<ロースター秦のコメント>
イチゴのような甘く赤い果物の風味。クリーミーな質感と、品の良い香りはどこか蜂蜜を思わせます。果実酒や洋酒を思わせる芳醇さも兼ね備えたレオンコルテスエリアの複雑な味わいを持つコーヒーです。ナチュラル精製ながらもこのクリーンさを感じさせるのは、高い精製技術があってこそ成せるものです。
生産者:ビンダス家
地域:サン・ホセ州レオンコルテス市サンパブロ
標高:1,880〜1,900m
品種:カトゥアイ
精製:ナチュラル

ニカラグアとパナマの間に位置するコスタリカ。首都のサン・ホセは国のほぼ中心にあります。下の写真の黄色で囲っているのがタラス地域。タラス地域はさらに3つの行政区分に分かれ、左からレオンコルテス、タラス、ドタです。
※右下の赤色で囲っている地域が「チリポ地域」です。
【アルトス・デル・アベホナル】ミルはタラスの中心から北西側にあるレオンコルテスという地域に位置しています。
こちらは農園の入り口。立派な門です。農園「ディビーノ・ニーニョ」は1993年に誕生しました。意味は「神の子」。門だけでなく名前も立派ですね。
【アルトス・デル・アベホナル】ミルが設立されたのは2008年です。名前の由来はミル周辺にあるアベホナル峰からとったそうです。
農園主のマウリシオさん。ミルを開くための資金を貯めにアメリカのニュージャージーで出稼ぎをしていました。コスタリカではマイクロミル設立資金のために出稼ぎをするケースが多くあります。みなさんそうした努力の上に整えた生産環境なので、コーヒー作りにもより一層気合いが入るのでしょう。

こちらがナチュラル精製中のコーヒーです。収穫後は異物除去などの粗選別を加え、そのままベッドに広げます。
ミルでは今回のナチュラル精製の他に、ウォッシュト精製はもちろんハニープロセスも行われています。
コスタリカでは森林の伐採が法律で禁止されいて、新しくコーヒー農地を開く際は牧草地などが転用されています。そうしたほとんどのコーヒー農地はあまり大きなシェードツリーを使用せずにコーヒーの間にバナナ等を植える程度です。しかし、ディビーノ・ニーニョ農園はコスタリカでは珍しく、大きなシェードツリーを多用しています。森林を残すことで高標高農地ゆえの気温の低さからコーヒーの木を守るためです。さらに、そうすることでその落ち葉を肥料にすることや水源を守ることにも繋がっています。
コーヒー栽培には農薬および化学肥料をできるだけ使用しない農法が用いられています。窒素固定作用のあるシェードツリーを使い、落ち葉や微生物などの活用により、殺菌剤や化学肥料の使用を減らしています。
こちらのタンクは山の土壌由来の微生物を米や廃糖蜜と混ぜて嫌気的環境で繁殖させてできた液体が入っています。コーヒーの樹に噴霧することで耐病性を中心に木の健康状態を良好に保つことができるとのこと。結果として収穫量の向上にもつながるようです。

マウリシオさんと奥さんのアルツェリオさん。奥さんは犬の服を作る手芸の先生もやっているそうです。この二人はおしどり夫婦コンテストで優勝できるくらいとにかく仲が良いのが印象的でした。