<主任ブレンダー秦のコメント>
滑らかな質感。トロピカルフルーツのニュアンスをほのかに感じさせ、冷めてくるとバニラのような風味を感じさせます。フレンチローストのマンデリンだからこそ味わえる質感の厚み、風味の複雑さ、甘いコク。是非ご賞味ください。
地域:北スマトラ州フンムバン・ハスンドゥタン県オナンガンジャン
標高:1,400m程度
生産者:オナンガンジャンの農家
品種:オナンガンジャン(ティピカ系伝統品種。クラシック・スマトラの1つ)
精製:スマトラ式
インドネシアは世界最多の島嶼を抱える国です。約1万3,000もの島々で構成されていて、東端の島から西端の島まで距離が約5,000キロメートルもあります。この距離はアメリカの東海岸と西海岸の端を結ぶ距離と同じくらいと考えると、インドネシア国土がどれだけ広大な範囲かがわかります。今回の舞台は同国西部に浮かぶスマトラ島です。なかでもオナンガンジャンは島の北部に位置しています。
オナンガンジャン地区はトバ湖の南、黄色の〇で囲った部分です。近くにはLCFマンデリンのコーヒーを栽培している農家が集まる地域リントンニフタとパランギナン(赤い〇で囲っている地域)もあります。赤い矢印で示したメダンとパラパット(地図では「プラパト」と表記)はこの辺りを訪れる際の中継地です。メダンまでは飛行機で行けますが、そこからはひたすら車での移動です。トバ湖に向かうにつれて標高も上がっていき肌寒くなっていきます。
こちらがトバ湖。中心にサモシール島という島が浮かんでいます。手前の島ではなく左奥にうっすら見えているのがそれなので、湖がどれだけ大きいかお分かりいただけるはずです。
オナンガンジャン地区にはたくさんのコーヒー農家がありますが、しかし、そのうちオナンガンジャン品種を含むクラシック・スマトラの栽培を行っている農家は1%にも満たないと言います。
シェードツリーはあまり意識して植えられていないそうです。日射量が少ないため、むしろ昔から農地に生えている木に対しては一部の葉を刈り取るほど。バナナやその他の木々は、シェード(日陰)目的というよりは自給や販売目的のために育てられていることが多いとのこと。一方で土壌内の窒素成分を固定する役割もあり、農地に対して良い作用も働いています。
農地の標高は1,400m前後。緩やかな起伏のある高原といったところでしょうか。中米の急峻高標高とは景色が大きく異なります。

収穫したチェリーは各農家にてパルパーにかけられます。この作業で果皮や果肉の一部を除去し、約12時間のドライファーメンテーション(=自然発酵させることでミューシレージと呼ばれる粘着質を分解する)に入ります。その後水洗され、天日乾燥されます。
各農家から集められたパーチメントコーヒーは、業者によって脱殻され二次乾燥へ。パティオにて5日間天日乾燥されます。

生豆内の水分値を安定させるため30日間倉庫で保管されます。最終的には機械による大きさや重さでの選別、さらに手作業による選別を経て商品になっていきます。