期待が高まる生産エリア「チリポ」
 今後コスタリカの高品質コーヒーを牽引する生産エリアになるのでは、と期待が高まるチリポ地域。首都を擁し、海岸線に沿って南東方向に伸びるように広がるサン・ホセ州の東端に位置しています。ここはコスタリカ最高峰のチリポ山に抱かれた、都市部とは違い山と森が大部分を占める自然豊かな地域です。ここ数年、当社でも積極的に扱うようになったエリアであり、【ロス・クレストネス】を筆頭に【インペリオ・ロホ】や【コラソン・デ・ヘスス】など続々とマイクロミルが設立されています。

 ICAFE(コスタリカコーヒー協会)の生産エリア区分においてこの地域はかつて「ブルンカ」と呼ばれており、主に汎用品のコーヒーを生産するエリアとして認知されていました。しかし、ここ数年で一部の生産者のなかで付加価値を付けた高品質なコーヒーで市場に打って出ようという機運が高まりました。小規模農家がミルの設立資金を集めコーヒーの買い手を探すのは非常に大変なことですが、情熱と努力をもってあきらめず活動を続けたこと、さらに政府の施策やNGOの協力もあり、今では高品質なコーヒーを生産するエリアとして非常に注目されています。

 そんなチリポと当社の関係が始まってから今年で10周年を迎えました。日本のロースターとして初めてチリポに足を踏み入れ、以降も幾度となく現地を訪問してきました。しっかりと品質に向き合い二人三脚でやってきたこともあり、この10年という節目の年は非常に感慨深いものです。そこで、今回はこのチリポのコーヒーを4種同時に販売することにしました。皆様にはこの機会にチリポ漬けになっていただき、ここのコーヒーの虜になってもらいたいと思っております。

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共に歩んだ10年、そしてこれから
 今回は10周年という節目の年でもあるので、チリポという地域の発展を一番身近で、そして深く関わってきた生豆バイヤーの若林にチリポへの想いを語ってもらいました。

 第一世代のマイクロミルが成功をおさめマイクロミルが爆発的な広がりを見せる頃に1つのサンプルが届きました。コスタリカといえばタラス、という時期にこれまで聞いたこともないチリポというブルンカの一地域のコーヒーでした。ブルンカはどちらかというと素晴らしい品質の産地というよりそこそこ美味しいコーヒーをたくさん作って勝負する地域のはずで、失礼ながら「なんだブルンカか」という印象でした。
 カップテストの準備中、焙煎中の香りから自分の判断が偏見であったことを認識させられた記憶があります。派手ではないが繊細な華やかさ、特有の甘さ、クリーンで主張しすぎない柑橘の酸。コスタリカにこんなコーヒーがあるのかという衝撃的な出会いでした。
 生産者の名前を聞くと、ロス・クレストネス マイクロミルで精製されたもので、チェリーが生産されたのはエル・アルトという農地とのこと。即購入を決めました。その時点から翌年も扱いたいと考えていたことは言うまでもありません。また、他に素晴らしいコーヒーがないかコスタリカ全域を行脚することになったきっかけとなるコーヒーでもありました。

 チリポに初めて訪問したのは2009年。パナマ、コスタリカ、エルサルバドルの生産者をめぐる旅の一環でした。エル・アルトの農園主グレースさんと当時代表を務めていたホルヘさんを中心にミル設立に尽力した行政の方、ミルに関わる生産者やその親族など多くの方が出迎えてくれたことを覚えています。今では当時撮影した写真を見せられ、風貌が随分変わったとからかわれることも。長い付き合いになったのだなと実感します。
 先日の訪問した際にホルヘさんからいただいたスピーチの一部です。
 「ミルを設立して10年が経過した。この地域の変わりぶりを見て欲しい。産業に乏しく豊かとは決して言えなかったこの地域にスペシャルティコーヒーという新しい産業ができた。マイクロミルは複数設立され、荒地や牧草地がコーヒー農地へと変貌を遂げている。地域は10年前と明らかに変わった。そして日本から足繁く通ってくれる友人もできた。次の10年もともに築いていこう。」

 クレストネスに続いて設立されたアルバラード兄弟の3マイクロミルは、設立前からクレストネスに出入りして自分たちのチェリーの精製をクレストネスに依頼したり、ミル設立についてアドバイスを受けていたそうです。ホルヘさんは地域の発展を目指していたため、後発の彼らに自分たちの顧客である我々を案内してくれたのがきっかけで、彼らのコーヒーも扱うようになりました。
 同じチリポ地域でも農地の位置の違いや栽培や精製への取り組みに違いがあり、それはカップに現れます。チリポのポテンシャルを目一杯味わうためには彼らのコーヒーも欠かせないと感じています。
 彼らとも4年目の付き合い。それぞれ得意なことがわかってきたので、クレストネスと違う魅力を一人一人に作ってもらい、消費者の皆様にチリポの奥深さをどう楽しんでいただこうか議論しています。




チリポ4種のご紹介



コスタリカ 「【ロス・クレストネス】エル・アルト」
シティロースト 200g

今年も非常にクリーンでキャラクターのしっかり表れた高い品質です。空間を満たす上品で華やかな香りに飲む前から嫌でも期待が高まります。一口含めば、ほんのり柑橘を思わせる酸と密度のある甘みがバランスよく調和し、滑らかな質感と共に全体に広がります。飲むコーヒーに迷ったら、まずはこちらのコーヒーはいかがでしょうか






コスタリカ 「【ロス・クレストネス】エル・アルト」
フレンチロースト 200g

今年で10周年目を迎える「【ロス・クレストネス】エル・アルト」はシティローストとフレンチローストの同時販売。フレンチローストに仕上げることでより質感が際立ち、カカオのような甘みも表れてきます。ほんのり感じる柑橘の酸はより濃密さをもって寄り添い、カップにアクセントを与えてくれます。焙煎度合い別でキャラクターの違いを飲み比べていただくとこの農園のコーヒーをより一層お楽しみいただけるはず。






コスタリカ 「【コラソン・デ・ヘスス】エル・アグアカテ ゴールデンハニー」
シティロースト 200g

同じチリポのシティローストである【クレストネス】エル・アルトと比べると、こちらのコーヒーはより"複雑さ"が特徴的に現れています。それに一役買っているのが「ハニープロセス」と呼ばれる精製方法。ミューシレージを一部残す形で乾燥させるこの方法によって、本来このコーヒーの持つ柑橘の酸に、チェリーを思わせる甘みや果実のニュアンスが加わっています。






コスタリカ 「【インペリオ・ロホ】エル・アグアカテ」
ハイロースト 200g

レモンやライムを思わせるややシャープな酸とクリスピーな質感が非常に爽やかな印象を与えてくれるコーヒーです。冷めてくると酸もほぐれ、密度のある甘みとともに心地よい余韻が続きます。決してとげとげしく感じることのない豊かな酸と甘みを持つハイローストをぜひ一度お試しください。