TOP > 飲んで学べるスペシャルティコーヒー ゲイシャ品種編
- 1
-
きれいで・おいしいゲイシャを体験しましょう
「アロマティックなコーヒー」
「フルーティーなコーヒー」
こんな風味表現がなされることの多いゲイシャは、コーヒーのことはよくわからないよ、と言う人にとっても、なんとなく良さそう・おいしそうに見えてくるコーヒーですよね。
「高級」
「最高品質」
といった言葉で形容されることも多いコーヒーなのでなおさらです。
「飲んでみたらとってもフルーティーでおいしかった」という体験をした人もいれば、「あまりピンとこなかった」という人もいるでしょう。
「価格が高めだし手を出しにくいな」と感じている人もいれば、「それだけの価値があるよ」という人もいるでしょう。
当たり前ですが、「ゲイシャだからおいしい」「ゲイシャだから最高品質」ということはありません。
でも、
“よくできた”ゲイシャは、とても華やかに香り、さまざまな果実のニュアンスを感じさせてくれ、口あたりも心地よく、わかりやすく“おいしい”と思えるコーヒーです。

今回の特集では、2つのゲイシャのテイスティングを通して、
・ゲイシャらしいおいしさ
・産地の違いで変わるゲイシャのおいしさ
この2つを楽しんでいきます。
価格設定もゲイシャとしてはリーズナブルなのでお見逃しなく。
後半ではいつも通り、色々な方面から語っていきますのでそちらもお楽しみに。
ゲイシャ飲み比べセット
内容
・「【モンテス・デ・オロ】 ジャサル ゲイシャ」ハイロースト 100g
・「フェスパ農園 ゲイシャ」 ハイロースト 100g
計200g
販売価格:4,800 円(税込5,184 円)
セット購入特典
12月発売予定のゲイシャ購入時に使える300円クーポン
※本セット購入後7営業日以内にメールにて配信いたします
販売期間:2025年11月12日(水)〜11月25 日(火) AM8:00の期間限定
- 2
-
テイスティング:“ゲイシャ品種”の風味を知る
“ゲイシャ”は品種の名前です。
パナマ産が有名で、かつては素晴らしい品質のパナマ産ゲイシャを多く楽しむことができました。ゲイシャ品種の基準となる風味は当時のパナマ産と言えるでしょう。しかし、残念ながら現在は2つの理由でかつての高品質なパナマ産ゲイシャを楽しむことが難しくなっています。
1つは、おいしいパナマ産ゲイシャが作れなく・作られなくなってしまったことです。
気候変動や新しい加工方法の導入、過度なブランド化などさまざまな要因が相まって、本来のパナマ産ゲイシャの風味を持ったコーヒーはほぼ消失してしまいました。
もう1つは、価格の暴騰です。
2025年の品評会での最高落札価格は1kg 450万円、100gで45万円です。極端な例ではありますが、パナマ産ゲイシャに過度な値付けがなされているのを象徴するできごとでしょう。コーヒーという多くの人に開かれた嗜好品の世界ではだいぶ違和感を覚える金額です。
「もう飲めないんだ」と残念に思ったかもしれませんが、諦めるのはまだ早いです。
パナマでのゲイシャ品種の成功を見た世界各地の生産者がゲイシャ品種の栽培に次々と参入し、そこかしこに色々なゲイシャが生まれているからです。その多くはかつてのパナマ産と比べるべくもない品質かもしれませんが、中には最高品質のパナマ産に類似した風味のものも出てきています。
また、パナマ産とは別の方向性のおいしさを持った素晴らしいゲイシャも現れています。
2025年現在ではパナマ産にこだわるのではなく、さまざまな産地のゲイシャの中から、高い品質のものを見出して楽しみ分けるが正解でしょう。
基本のゲイシャらしさを味わう
今回の特集は「かつてのパナマ産を彷彿とさせるゲイシャが用意できたから企画しました」といっても過言ではありません。
味わってもらえばすぐにわかりますので、ゲイシャ品種の基本的な風味特性と抽出方法を整理したら、早速基本のゲイシャをテイスティングしましょう。
特徴1.豊かな果実感
甘みを伴う柑橘から、ピーチやアプリコットといった核果、マンゴーやパイナップルなどのトロピカルフルーツ、とさまざまな果実のニュアンスが現れます。冷めるとフルーツジュースを思わせるほどです。
特徴2.きめ細やかさと厚み
果実感のインパクトに圧倒されて見落としてしまうともったいないのがテクスチャー。高品質なゲイシャは「きめ細やか+厚み」が感じられます。ベルベットのようなと形容できる稀有なテクスチャーが現れます。
【テイスティングするコーヒー】
ペルー「フェスパ農園ゲイシャ」ハイロースト
ティピカ品種・ブルボン品種・カトゥーラ品種という基本の品種を毎年高い品質に仕上げ届けてくれる堀口珈琲のパートナー生産者ウィルダーさんが手がけたゲイシャ品種です。
ウィルダーさんは、木の生育具合や風味を確認することを目的として、3つの基本品種の他にゲイシャ・パカマラ・ジャバ品種を試験栽培しています。
2019年から収穫できるようになりましたが、年を追うごとに風味が充実し、今年の品質はゲイシャらしさ溢れる素晴らしいものとなりました。

【抽出時のポイント】
ハイローストの抽出は「さらっと、かろやかに」が基本です。注ぎ始めは少量の湯を静かに注いで粉にお湯を浸透させ、20秒前後でサーバーに抽出液がポタポタ落ち始め、注ぐ量を少しずつ増やして40秒前後で抽出液のポタポタが線状になるように。 その後は表に記載の抽出時間くらいで目標の抽出量に達するよう注ぐペースを早くしていきます。
【味わい】
ゲイシャらしい華やかな果実感から始まります。
黄色い柑橘をベースに、マンゴーやパイナップルを思わせるトロピカルフルーツのニュアンスも感じとることができます。明瞭な酸に加え、豊かな甘み、きめ細やかで厚みのある質感がふくよかな印象の果実感を際立たせています。
華やかな果実感に続いて、フローラルな香りが広がります。可憐に、というよりは豊かに、派手に香ります。飲み下す際にはスパイスのような香りも鼻に抜けていきます。色彩豊かな果実とフローラル・スパイスが混然一体となって、余韻まで長く持続します。
どこか古き良きパナマゲイシャを彷彿とさせるような、華やかで甘みの豊かなゲイシャです。
超高標高エレガントゲイシャを楽しむ
【テイスティングするコーヒー】
コスタリカ「【モンテス・デ・オロ】 ジャサル ゲイシャ」ハイロースト
続いてテイスティングするのは、コスタリカ・ロスサントス地域レオンコルテス地区の2100mを超える超高標高農地で栽培されたゲイシャです。超高標高とレオンコルテス地区の環境要因が風味に現れ、フェスパ農園とは全く異なる素晴らしいゲイシャに仕上がっています。
特徴1.柑橘+フローラル主体のエレガントゲイシャ
ゲイシャらしく幅広い果実感を備えつつも、柑橘主体でより軽やかなバランス。アタックから余韻まで白い花の香りが常にいてとてもエレガントなフレーバーです。
特徴2.滑らか+量感=粘性
浅い焙煎度にも関わらず、口にした瞬間から“滑らか”と“量感”がしっかりと感じられます。
基本のゲイシャに感じるベルベットからさらに粘性が増し、シロップのようなとろりとしたテクスチャー。

【抽出時のポイント】
ハイローストの抽出は「さらっと、かろやかに」が基本です。注ぎ始めは少量の湯を静かに注いで粉にお湯を浸透させ、20秒前後でサーバーに抽出液がポタポタ落ち始め、注ぐ量を少しずつ増やして40秒前後で抽出液のポタポタが線状になるように。 その後は表に記載の抽出時間くらいで目標の抽出量に達するよう注ぐペースを早くしていきます。
【味わい】
こちらもゲイシャらしい果実感から始まります。
果実のメインは柑橘。口に含むとフレッシュなレモンを思わせる爽やかな果実味が溢れます。明瞭な酸に負けない豊かな甘み・コクもあり、ほんのりと白系果実のニュアンスも漂います。
続いてフローラルな華やかさが鼻腔を巡ります。白い小花を思わせる繊細な香りの後には、スパイスやハーブの要素も見つけることができます。華やかで、繊細で、複雑。そんな香りの印象です。
飲み下しても余韻にしっかりと残る爽やかな柑橘と華やかな香り。どこかレモンバームのような印象を残しながら、ゆっくりとフィニッシュへ向かいます。
二口目は質感にも意識を向けてみましょう。“滑らか”と“量感”がしっかりと感じられます。そして、口あたりから余韻までざらつきやひっかかりの一切感じられないクリーンカップ。この澄み渡るような透明感、シロップのようなとろりとしたテクスチャーが長い余韻をもたらし、ジャサルゲイシャの“エレガントさ”を際立たせています。
- 3
-
ゲイシャってどんな品種?
素晴らしいゲイシャを味わったら、ここからはゲイシャについて知識の面から理解を深めていきます。
ゲイシャという品種を紐解いていくにあたり、まず押さえておきたいのは「歴史」です。
と、聞いて「また歴史かい!」と思われた方は、飲んで学べるシリーズの「基本の品種編」を読んでくださったスペシャルティ愛好家の方でしょう。
品種伝播の歴史について、詳細は「基本の品種編」に譲るとして、
未読の方のためにも重要なポイントだけに絞って簡単におさらいしておきます。
・アラビカコーヒー発祥の地はエチオピア。多様な品種群が存在する。
・6世紀〜9世紀ごろにエチオピアから一部の品種がイエメンに伝播し、コーヒー飲用文化が発展
・17世紀、イエメンからたった2つの品種(ティピカとブルボン)が世界各地へと広がる
・世界各地に広がったティピカ品種とブルボン品種が、その後現在に至るまで突然変異や自然交配、人為的な選抜や交配によってさまざまな品種へと変遷していく
こんな感じでした。

つまり、エチオピアとイエメンを除き、世界各地で栽培されているアラビカ種のほとんどはティピカとブルボンおよびそれらをルーツに変遷していった品種たちです。
ティピカとブルボンは品種自体の強い個性がなく、「ニュートラルな風味で、産地の違いを鏡のように映す品種」です。この2つの品種が世界各地に伝播したことで、自ずと「生産地ごとの風土の違い」が「風味の中に可視化」され、このことが「産地の個性を楽しむ」というスペシャルティコーヒーらしい楽しみ方に繋がっていった、と私たちは考えています。
では、産地の個性よりも“品種自体の個性が強い”ゲイシャはどうかというと、ティピカとブルボンを系譜とする品種伝播・変遷の歴史の流れには乗っかっていません。
ゲイシャはどこからやってきて、どのように広まったのでしょうか。
ゲイシャの歴史�� ‐耐病性を期待されて中米へ‐

ゲイシャといえばどこの国?と聞けば、ゲイシャラバーの皆さまはすぐに中米の「パナマ」を思い浮かべると思います。確かに、ゲイシャのムーブメントはパナマから始まりましたが、品種のルーツはエチオピアです。世界的にも有名なコーヒー生産エリア・イルガチェフェよりさらに西方にあるベンチ・マジの「ゲシャ」というエリアの森の中に自生していた在来品種とされています。
ゲイシャがエチオピアから中米に伝播したのは1950年代。ティピカ・ブルボンの長い伝播の歴史と比較すれば“つい最近”のように感じます。
コーヒーの研究や実験栽培を行う施設として、当時世界中から様々な品種のコーヒーを集めていたコスタリカの熱帯農業研究高等教育センター(CATIE)に持ち込まれたさまざまな品種の一つがゲイシャでした。
コスタリカのCATIEからゲイシャを受取った一人が隣国パナマの「ドンパチ農園」のパチ・セラシン氏。「パナマゲイシャの父」とも呼ばれる彼から後に世界に衝撃を与える「エスメラルダ農園」にも渡ります。1960年代のことです。

とは言え、その時点においては「品種由来の特徴的な風味」に注目されてエチオピアからコスタリカ・パナマへと広がっていた訳ではありませんでした。
期待されていたのは「さび病への耐性」です。
しかしながら、耐病性は決して万能ではないことがわかり、カップにおいても特筆すべき評価も得られず、さらには生産性も低いことから、しばらく日の目を見ることはありませんでした。
そんな中、「エスメラルダ農園」が2004年のパナマのコーヒー品評会(ベストオブパナマ)にゲイシャを出品しました。それまで業界では注目されなかった品種が圧倒的に華やかな香味を放ち、空前の高額で落札されてセンセーションを起こしました(ちなみに当社創業者の堀口はこの時のインターネットオークションに明け方まで参加していたようです)。そこから、農園名とともに「ゲイシャ」の名前は世界へと広がっていきます。
ゲイシャの歴史�◆捷睇弦發領篶辰粉超�で、ポテンシャルが開花‐

なぜ、これまで日の目を見なかったゲイシャが突如として「圧倒的に華やかな香味」を備え注目を集めたのか。それは、「最適な生育環境」を手に入れた、という点にヒントがあるかもしれません。
エスメラルダ農園は1990年代半ばにボケテ地区で高品質コーヒーの生産に取り組み始めましたが、カビの病気による被害が相次ぎ“より標高の高い寒冷なエリア”に植え替えを行いました。それでも大部分は枯れてしまい、健康なまま生き残ったのはわずかでした。
その生き残りから収穫し初めてカッピングをしたのが、2004年の品評会の数週間前のこと。これがまさに出品されることになるゲイシャでした。農園主のピーターソン氏は、その余りにも華やかでフルーティーなキャラクターに驚き、ディフェクト(欠点豆)かもしれないと始めは疑ったと後に明かしています。
図らずも高標高の寒冷なエリアという生産環境に植えられたことでポテンシャルが開花し、ゲイシャをまったく別の評価へと導いたのです。
エスメラルダ農園の成功を受けて、パナマ国内ボケテ地区を中心に複数の生産者がゲイシャ栽培を開始。以降、“パナマゲイシャ”のブランド化がどんどん進んでいきます。
ゲイシャの歴史��‐過熱する“ゲイシャムーブメント”‐

2010年代に入るとスペシャルティコーヒー市場が市民権を拡大し、さまざまな生産国が付加価値の高いコーヒーを作ろう、特徴的な風味のコーヒーを作ろうと目まぐるしい変化が起きました。
そうした中で、特徴的な風味で高い付加価値を生み出すゲイシャは“象徴的な存在”の一つとしてスペシャルティコーヒー市場に迎え入れられ、中南米の生産国へ急速に広がります。
パナマの隣国であり今回ご紹介しているコスタリカもいち早くゲイシャの栽培が広がった生産国の一つです。当時既に先進的なマイクロミル(栽培から精製までを自らの手で施す小規模生産者)が発達していたコスタリカでは、さまざまな小規模生産者が高品質・高付加価値を生み出す新たな品種としてゲイシャの栽培に挑戦し始めます。
伝統的な農園が多く保守的な傾向にあるグァテマラではゲイシャの導入に慎重な様子も当初は伺えましたが、徐々にゲイシャ栽培に挑戦する生産者が増えていきます。

過去の品評会の結果を参照してみると、上位5位以内にゲイシャが初めて名を連ねたのはコスタリカが2013年、グァテマラは2012年のようです。ただ、2010年代前半はまだゲイシャがぽつぽつと入賞し始めたという段階で、コスタリカはハニーやナチュラルといった精製のコーヒー、グァテマラはパカマラ品種が上位入賞に並んでおり、それらが注目を集めていた様子が伺えます。
その裏ではさまざまな生産者がゲイシャ栽培に取り組み始めていたのでしょう。2010年代後半に入ると、ゲイシャが席捲し始めます。2018年のグァテマラの品評会では上位5銘柄のうち3つがゲイシャ、2019年のコスタリカの品評会では上位5銘柄のうち4つがゲイシャという結果です。

2019年のコスタリカの品評会結果
各国の品評会でゲイシャが上位の多数を占め、高額で落札され、世界的なムーブメントに。中心地パナマの品評会における最高落札価格は毎年更新されていきました。
ムーブメントは、ゲイシャのルーツとされるエチオピア西部のベンチ・マジのゲシャ村にまで及びます。ゲシャ村に総面積471ヘクタールに及ぶ広大な敷地に農園が設立され、2010年代後半には“ゲシャ村のゲイシャ”が市場に出回り始め、一世を風靡します。
2020年代に入るとムーブメントは“過熱”ともいえるフェーズに入ります。アジアや中東の新興市場での消費拡大を背景に、ゲイシャの価格は高騰し続けます。
パナマゲイシャの最高落札価格は2021年には1kgあたり5,000USドルを超え、2024年には10,000USドル、2025年には30,000USドルを超えました。
コンテストバブルは過熱が続き、“ゲイシャブランドが独り歩き”して止められない状況にある、とも言えそうです。
- 4
-
堀口珈琲とゲイシャ
こうした変化の激しい環境の中で、堀口珈琲はムーブメントの荒波の中に真正面から潜り込み、コンテスト上位ロットを高額でどんどん落札し、びっくりするような価格で販売する、……という動きはしてきませんでした。
堀口珈琲のゲイシャに対するスタンスは20年間変わっていません。
ゲイシャを過度に特別扱いすることはなく、扱う基本スタンスは他の品種と一緒です。
と言っても、冷めている訳ではありません。
他の品種と同様、“スーパークリーンで最高品質のゲイシャ”を追求してきました。
また、皆さまに提供する上でも、他の品種とあまりにもかけ離れた価格ではなく、現実的な価格で提供できることを念頭に置いてきました。品質以上に品評会での評価やその農園のブランド価値が価格に上乗せされた“高すぎる”ゲイシャは買い付け対象から外れます。
コンテストバブルやムーブメントとは一定の距離を保ちながら、スペシャルティコーヒーとしてゲイシャの個性を楽しむことを念頭に商品開発をしてきました。
堀口珈琲が考えるスペシャルティ・ゲイシャの楽しさ

ゲイシャは、
・クリーンな風味に仕上がりやすい
・品種由来の味が強い
という品種です。
スペシャルティコーヒーにおける基本品種であるティピカ・ブルボンと同じようにネガティブな風味が出にくい品種で、クリーンな風味に仕上がりやすいという特徴があります。
その上で、基本の品種であるティピカ・ブルボンの「個性がないことが個性(=品種由来の個性が少ないからこそ産地の違いが風味に反映されやすい)とは異なり、品種由来の個性が強く、明確な“ゲイシャ味”がある品種です。
“産地の個性を楽しむ”というスペシャルティの基本の楽しみからは少し逸れるかもしれませんが、“品種由来の特徴的な風味”を楽しめるのはゲイシャならではの面白さです。

であるならば、スペシャルティのゲイシャにまず求めるのは次の2つです。
1.クリーンでゲイシャの味がしっかり感じられること
当たり前なことのようですが、生育環境や生産工程などに課題がありゲイシャらしい味わいが備わっていないゲイシャも多く流通しています。これを読んでいる方の中には「ゲイシャを買って飲んだことがあるけど、ゲイシャの味がどれなのかよくわからなかった」という方も一定数いるかもしれません。品種名はゲイシャでも、品種由来の味わいが感じられなければ、ゲイシャを飲む楽しさはありません。
2.付加的なフレーバーがゲイシャの風味をマスキングしていないこと
特に近年はアナエロビックに代表される特殊精製をゲイシャに施すケースが増えていますが、特殊精製によって付加された刺激的なフレーバーがゲイシャ品種の風味を覆い隠してしまっていては本末転倒です。
ナチュラル精製のゲイシャについては、精製由来のフレーバーがゲイシャの風味に綺麗に加われば複雑な味わいを楽しめますが、精製由来のフレーバーが支配的になってしまってはゲイシャらしさを楽しめなくなってしまいます。
ゲイシャ品種らしい風味を楽しむなら、クリーンな風味に仕上がりやすいウォッシュト精製が基本でしょう。
この2つを前提に、品種由来の風味の奥に「産地らしさ」や「生産者の個性」をも感じられ、それが特別なおいしさとなっていれば、ゲイシャを飲む楽しさはさらに広がります。
堀口珈琲が扱うゲイシャ
こうした考えの元、堀口珈琲ではこれまでさまざまなゲイシャを取り扱ってきました。
2000年代後半からパナマゲイシャの香味にいち早く注目し、かつては「エスメラルダ農園」のゲイシャも取り扱っていました。ゲイシャムーブメントの盛り上がりとともに価格が高騰していく中で、過度にコンテストバブルに影響されずにしっかりと品質が伴うパナマゲイシャを探し求め、ボケテ地区のリカルド・コイナ―氏が手掛ける「カフェ・コトワ」やボルカン・バルー地区の「カジェホン農園」、標高2,100m越えの超高標高の「ソフィア農園」といった生産者のゲイシャを取り扱ってきました。
いずれの生産者とも長期的な関係を見据えて取り組みましたが、パナマゲイシャのブランド化が進んでいく中で、品質面の課題や過度な価格高騰を背景に取り扱いをやめました。

パナマ以外の生産国ではコロンビア南部ナリーニョエリアのゲイシャも取り扱っていました。ナリーニョという特別な環境で育ったゲイシャがどのような香味を備えるのか、実験的な取り組みでしたがこれも相場暴騰の影響で残念ながら姿を消してしまいます。
グァテマラのゲイシャもありました。かつては、前章で触れた2012年の品評会で初入賞したゲイシャを、その数年前から取り扱っていたりもしました。長期的な視点で取り組もうとするも、入賞するや一気に価格が高騰してしまいました。近年では、ウエウエテナンゴの名門「エル・インヘルト農園」のゲイシャが記憶に残っているという方も多いかもしれませんね。
他にもさまざまなゲイシャを取り扱ってきましたが、ゲイシャを取り巻く市場環境が混沌としていく中で、品質や価格の面から継続的に取り扱うことが難しい状況へと向かっていきました。
そうした中で、いまでも私たちが取り扱いを続けているゲイシャがあります。
コスタリカの実力あるマイクロミルとペルー「フェスパ農園」が手掛けるゲイシャです。いずれも10年以上に渡って堀口珈琲と長期的な関係性に基づく取り組みをしてきた生産者たちです。
彼らは主要な栽培品種として伝統的な品種を軸としつつ、標高の高い一部区画で試験的にゲイシャの栽培にも取り組んでいます。
堀口珈琲との関係性においても、取り扱いのメインはカトゥアイやカトゥーラ、ブルボンといった伝統的な品種です。恵まれた生産環境において知識・技術・経験に裏打ちされたつくりの良さ、品質の高さを評価し、長年に渡って取引を継続してきました。
そんな生産者たちが試験的に栽培し始めたゲイシャに対して、私たちは他の品種と同じように評価をしていきます。基本姿勢は「堀口珈琲が求めている品質を伝える」と「品質を作ってくれればちゃんと買う」です。
ゲイシャだから絶対に買う、といった特別扱いはしません。ゲイシャをたくさん作って、という要求もしません。市場では高値で取引されるゲイシャですから、他の品種よりも買い付け価格は高額になります。ただ、品質以上のブランド価値やコンテスト評価が上乗せされた“高すぎる”価格ではありません。
「コンテストで〇位入賞」「たった一杯で〇千円」といったインパクトのある謳い文句は付かずとも、高標高農地で確かな技術を持つ生産者によって仕立てられた、クリーンでしっかりとゲイシャらしい個性が感じられる素晴らしいゲイシャです。
- 5
-
さいごに
‐堀口珈琲のゲイシャにご期待ください‐
スペシャルティコーヒーにおいて、ゲイシャの面白さは「ゲイシャ品種ならではの味わいを楽しむ」にあります。
至極当たり前のことですが、ゲイシャムーブメントが過熱する中で、ゲイシャらしい味わいを感じにくいゲイシャや、ネガティブな風味が品種の個性をマスキングしてしまっているゲイシャなど、品質を伴わないゲイシャも増えています。
ゲイシャらしい味わいがしっかり感じられなければ、ゲイシャを飲む楽しさはありません。
一方で、品評会で上位入賞して高額で取引されるものだけが、おいしいゲイシャという訳でもありません。
コンテストバブルとは一定の距離を保ちながら、素晴らしいコーヒーをつくり続ける生産者による、素晴らしいゲイシャがあります。今回ご紹介したジャサルとフェスパを皮切りに、これから順番にリリースしていくゲイシャたちです。
いずれもクリーンカップが素晴らしく、ゲイシャらしい味わいの後ろには、産地らしさや生産者らしさも感じられます。今回飲み比べたジャサルとフェスパの違いのように。
そうしたゲイシャなら、さまざまなゲイシャを飲み比べてみる価値、スペシャルティコーヒーならではのゲイシャの楽しさがあると考えています。
今回は浅めの焙煎度に揃えてゲイシャの個性をわかりやすく体験していただきましたが、他の品種と同じように焙煎度によるおいしさの違い味わうという楽しみ方もできます。深煎りゲイシャ、という楽しみもあるんです。
今期は信頼する生産者達から素晴らしいゲイシャが届いています。しかも、例年以上にラインナップも豊富。これから順番にリリースしていきますので、堀口珈琲のゲイシャにぜひ注目してください。
ゲイシャ飲み比べセット
内容
・「【モンテス・デ・オロ】 ジャサル ゲイシャ」ハイロースト 100g
・「フェスパ農園 ゲイシャ」 ハイロースト 100g
計200g
販売価格:4,800 円(税込5,184 円)
セット購入特典
12月発売予定のゲイシャ購入時に使える300円クーポン
※本セット購入後7営業日以内にメールにて配信いたします
販売期間:2025年11月5日(水)〜11月18 日(火) AM8:00の期間限定





